ポリフェノールについて
光合成から作られる植物の成分の一つがポリフェノールで、非常に強力な抗酸化作用を有し、その作用が最近注目されています。ポリフェノールはひとつの成分を指すのではなく、類似の構造をもる化合物全般を指します。ブルーベリーに含まれるアントシアニン、緑茶に含まれるカテキン、ソバに含まれるルチン、ウコン(ターメリック)やショウガに含まれるクルクミン、レタスやブロッコリーに含まれるケルセチンなど、たくさんの種類があります。大豆にはの胚芽部分にイソフラボンが多く含まれています。エストロゲンと構造が似ているため、女性ホルモン様作用を有し、抗酸化作用のほか、骨からカルシウムが溶け出すのを防いで骨粗鬆症を予防したり、細菌やウィルスへの抵抗力を高めたり、コレステロールを下げる効果があります。
成分はプロシアニジン
プロシアニジンは、カテキンがいくつか結合した構造をもったポリフェノールです。強い抗酸化作用を有しており、リンゴに多く含まれています。他にもビワ、ブドウ、緑茶などにも含まれています。
プロシアニジンの効用
抗酸化作用
特徴はやはり強力な抗酸化作用にあります。酸化とは「身体のサビ」と表現されることもあり、疾患や老化の進行を早めます。身体の色々な部位で生じる酸化反応を抑制する効果が「抗酸化作用」なのです。プロシアニジンは身体に有害な活性酸素の生成を抑制します。最近、がん化のメカニズムでもある酸化によるDNA損傷を抑制する効果が示されています。
代謝促進作用
身体に有害な物質、例えば発がん性物質やダイオキシン類などを分解、排泄を促進する効果が示されています。
肝臓の保護作用
抗酸化作用や代謝促進作用により、肝機能を改善、または損傷した肝臓を修復に導く効果が示されています。
糖代謝の促進作用
インスリンの分泌を促し、糖代謝を促進し、高血糖を改善することが示されています。高血糖は血管を老化させる等、様々な不利益を身体に及ぼします。
脂質代謝促進作用
エネルギー産生を促進し,高脂肪食摂取による脂肪蓄積を抑えることで、脂質代謝の促進や肥満・脂肪蓄積抑制効果が示されています。
その他の作用
がん細胞のアポトーシス(細胞死)の誘導による抗がん作用、ケミカルメディエーターの遊離抑制作用による抗アレルギー作用、メラニン生成抑制作用による美白効果、育毛作用、白内障予防効果などがあると言われています。

変形性膝関節症の進行抑制作用
最近のエビデンス情報を紹介します。りんごポリフェノールが変形性膝関節症の進行を抑制する、との報告が千葉大学より発表されています。研究成果は「Scientific Reports」に掲載さました。
国内には40歳以上の患者が2500万人いると推定されている変形性膝関節症は、関節において緩衝作用を担う軟骨が擦り減ることが主な原因で起こり、膝関節の腫れ、痛み、歩行困難など、生活の質を著しく低下させます。骨への負担が増加することで症状が更に悪化していきます。
りんごから抽出されたポリフェノール、プロシアニジンには強い抗酸化作用があります。りんごポリフェノールのミトコンドリアを介した作用機構により、変形性膝関節症の症状の進行が抑えられることが考えられています。軟骨細胞でミトコンドリアの新生を促し、軟骨の構成成分であるプロテオグリカンの産出を促進することが示唆された、とのことです。研究グループは、「りんごポリフェノールは、変形性関節症の内科的治療分野における、有望な食品素材として期待できる」と述べています。
