2020年に新しい子宮頸がんワクチンが承認されるようです。
一旦は定期接種が始まった子宮頸がんワクチンですが、副作用による反対世論に押し切られ、国による積極的使用が取りやめとなりました。
あれから7年、毎年子宮頸がんにより多くの女性たちが亡くなっています。


子宮頸がんの原因HPV
Human Papilloma Virus
HPV(ヒトパピローマウイルス)感染症は性交渉や皮膚の接触により罹患します。イボのような尖圭(せんけい)コンジローマの原因となります。また、子宮頸部での細胞異常、前がん状態から、ゆっくりと子宮頸がんへ進行します。
性行為開始前(推奨年齢は小学6年生~高校1年生相当時)に子宮頸がんワクチンを接種することで、HPV感染症、更に子宮頸がんを予防することが可能となります。
子宮頸がんワクチンの効果
海外でのHPVワクチン接種プログラムによる結果より、HPV感染率の減少が確認されています。全く感染しなくなる訳ではありません。理由はHPVには多くの種類があり、ワクチンに含有されているHPV型以外のHPVウイルス感染があるためです。
子宮頸がんの原因となるHPVの代表は16型と18型で、子宮頸がんの原因の約65%を占めていると言われます。
尖圭(せんけい)コンジローマでは6型と11型が主な原因となります。
4価ワクチンのガーダシルは16 型、18型、6 型、11 型の 4 種類の感染症を予防し、2価ワクチンのサーバリックスは 16 型、18 型の2種類の感染症を予防します。
4価のガーダシルが良いように感じますが、サーバリックスの方が 16 型、18 型のウイルスに対する抗体上昇が優れていると言われています。
効果について、英スコットランドでのワクチン接種率が9割に及び、20代女性ではHPVへの感染率は4.5%と、接種していない集団の感染率30%に比べて大幅に低下した、との研究結果が示されています。
子宮頸がんワクチンに関する経緯
日本において、子宮頸がんワクチンは「サーバリックス」が2009年12月(世界では2007年5月)、「ガーダシル」が2011年8月(世界では2006年6月)に承認販売が開始されました。その後、2013年4月より中学・高校生女子への定期接種が開始されました。
開始から間もない2013年6月、副作用の発現から、厚生労働省はワクチン接種の積極的勧奨を取りやめ、任意での接種(対象年齢の希望者は無料)となりました。
2013年に厚生労働省が取りまとめた接種後の副反応として、失神・意識レベルの低下、四肢痛、筋力低下、注射による四肢の運動機能低下などが報告されています。
その時点で接種者数は約890万人、重篤な副作用は553件(10万人当たり6.2人)でした。
複合性局所疼痛症候群(CRPS)と呼ばれる慢性の痛みを伴う事例や、関節痛の発現が問題視されました。これらの症状とワクチンとの因果関係が否定できなかったため、厚生労働省はワクチン接種の積極的勧奨を取り下げたのです。
子宮頚がんによる死亡者数
世界では2018年の新規患者数が57万人、死亡者数は31万人。中低所得者層が多いとのことです。
国立がん研究センターの疫学調査では、子宮頸がんの罹患数は、年間約10,900例としています。また、子宮頸がんの死亡者数は約2,900人です(人口動態統計2014年)。
検診で早期発見できても、子宮摘出を行うリスクを負わなければいけません。
ワクチン接種で救える人数は?
HPVワクチン接種世代の女子は1学年約50万人です。
ワクチン接種で2,900人の約7割の約2000人(50万人の0.4%)の死亡を防ぐことになります。
子宮摘出などの治療を受ける人の数を加えると、ワクチン接種で救える人数はもっと多くなります。
死亡者数は10万人当たり約400人
重篤な副作用は10万人当たり6.2人
上記の数字を見て、あなたはどちらを選択しますか?
可愛い娘さんをお持ちの方は、是非、ワクチンの任意接種されることをお勧めします。
日本医師会と日本医学会合同公開フォーラム「HPVワクチンについて考える」において、今後もHPVワクチン積極的勧奨接種を差し控えた場合、2020年から2070年までの50年間で本来なら予防できるはずの子宮頸がん罹患者数は約10万、死亡者数は約2万人との推計が発表されています。
学会や世界の声
日本産科婦人科学会などは、「子宮頸がんワクチンは命を救うワクチンであり、女性とその家族の将来を守るための社会防衛上の重要な手段」という主張を発表しています。
世界保健機関(WHO)は2014年に子宮頸がんワクチンの安全宣言を出し、接種を事実上中断している日本の対応を批判しています。
名市大の研究(名古屋市の7万人調査)から名古屋市は、接種者と未接種者の間に副作用の発症差はなかったと発表しており、接種再開を求める声がでています。
HPVワクチンと共に一旦接種が見送られ、その後再開したHibワクチンと肺炎球菌ワクチンにより、重症のHib感染症、侵襲性肺炎球菌感染症は激減し、多くの子どもたちの健康が守られています。



