感染症

新型コロナウイルス感染症は集団免疫獲得でどう変わるのか?

免疫の獲得方法

免疫の獲得方法は2種類あります。

・ワクチン接種による獲得

・自然免疫の獲得

ワクチン接種

現在、ワクチン開発が急がれてはいますが、有効なワクチンの開発にはかなり時間がかかるものと考えられています。

また、インフルエンザ同様、ウイルス変異が盛んにおこなわれると、ワクチン株の種類を工夫しなければ、ワクチン接種が有効に働かない可能性もあります。



自然免疫

新型コロナウイルスには多くの人が感染しています。

この記事を記載している時点で、国内感染者は約1万人強、世界では約203万人が罹患しています。

重症、軽症にかかわらず、感染者は免疫を獲得します。

免疫獲得の有無は抗体の測定により明らかになります。主にIgG抗体価が重要な指標になります。

 

IgM抗体とIgG抗体

血中抗SARS-CoV-2抗体の測定方法にイムノクロマト法というものが有ります。血中に抗体が誘導されるには1週間ほどの時間を要します。

発症1週間後あたりからIgM抗体とIgG抗体が検出され始めます。発症2週間頃では約6割にIgM抗体が、9割以上にIgGが検出されます。

IgMが検出された例ではすべてIgGが検出されています。

このIgG抗体はCOVID-19にウイルス特異的な抗体では有りませんが、COVID-19の感染により2週間ほどで検出される抗体でもあります。

新型コロナ「抗体検査」

感染初期「IgM陽性・IgG陰性」

感染中 「IgM陽性・IgG陽性」

免疫獲得「IgM陰性・IgG陽性」

集団免疫とは

個人免疫

個人が免疫獲得することで、同じ種類のウイルス感染は起こりにくくなります。

つまり、個人の防衛力が強化されるのです。

免疫を獲得している人にウイルスが侵入しても、体内での増殖が阻止され、ウイルスが消滅するのです。

しかし、免疫を獲得していない人は感染後にウイルスが体内で増殖し、感染症を発症します。

今回の新型コロナウイルスに置き換えれば、

SARS-CoV-2の感染により、COVID-19が発症するのです。

感染者はSARS-CoV-2を咳やくしゃみ、ウイルスが付着した手や衣類をを介して、他の未感染者にウイルスを伝播させ、感染が広がっていきます。

個人免疫の獲得は感染者との接触において、個人を守ることのみ有効であり、免疫を獲得していない者には容易に伝播されます。

 

集団免疫の有効性

個人が免疫を獲得しても、周囲に非免疫獲得者が多数存在すれば、感染症は広がっていきます。現在のCOVID-19禍が正にその状況です。

そこで、免疫を獲得した人のみ存在する100人の集団がいると仮定してみましょう。

感染者1人がその集団の中に入り込んでも、感染は広がりません。

一時的にSARS-CoV-2が複数の免疫獲得者の体内に侵入することは有りますが、免疫の働きでウイルスは増殖せず、消えていきます。

免疫獲得者の身体自体が、ウイルスを消滅させる機能を有しているからです。

集団の免疫獲得率が100%の場合、このような状況で、全くCOVID-19の発症は広がりません。

この確率が80%、60%、40%…と低下するにつれ、感染の広がりが大きくなっていきます。

 

孫悟空
これが集団免疫の効果なんです。

 

現在、抗体を有している人はほとんどいませんので、容易にクラスターが各地で発生している訳です。

免疫獲得率が向上することにより、非感染者にウイルスが届きにくくなるのです。



他の感染症での事例

2019年麻疹の流行

2019年の春頃、麻疹(はしか)が大流行しました。

麻疹ワクチンの接種の歴史を見ると、1966年以前の接種はなく、1966年から1969年にかけて副作用がある質の悪いワクチンの接種時期を経て、1969年以降、生ワクチンの接種が始まり、1978年に法定接種が始まりました。

当時は1回接種のみで、完全に免疫獲得が出来ず、2006年より2回接種が始まっていますが、2回目の接種率はスタート時において100%では有りませんでした。

2019年の大流行では2回接種の開始前後の20歳以上の感染が多くみられています。

集団免疫の獲得が不十分であった結果です。

 

2018年風疹の流行

風疹ワクチンは1977年から中学生女子のみ摂取され、1995年までこの状況が続きました。

1995年以降は男女の接種が始まり、非接種者の追跡も行われましたが、不完全でした。

2018年の風疹の大流行では、1回も摂取を受けていない世代、1回のみしか接種を受けなかった世代である30歳~50歳で大流行しました。

なお、高齢者は自然免疫を獲得している人が多数いるため、流行にはならなかったと考えられます。

当時は妊娠の可能性のある配偶者への感染を防止するために30歳代の男性へのワクチン接種が呼びかけられました。

 

内部リンク

 

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かっぱ君
早くSARS-CoV-2ワクチンが開発されると良いですね。

 

免疫力の無い集団が3密に集合するのって、超危険行為なんですね。
小悪魔

 

龍じい
新型コロナは高齢者にも自然免疫が無い恐ろしいウイルスじゃわい。

 

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はねかわ

はねかわ

医療の世界に身を置き、常に情報収集。エビデンス情報が確かな承認医薬品に加え、積極的なエビデンス収集がなされにくいサプリメントや健康食品にもスポットを当て、予防医学、プレメディケーションの分野に貢献できればと考えています。今後、お金の話も取り入れていきたいと思います。専門分野は薬学、有機化学。薬学修士。

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