

フィトケミカルについて
フィトケミカルは植物中に含まれる化合物で、特に健康に役立つ成分を意味しています。例えばヤナギの樹皮から単離されたアスピリンもフィトケミカルに相当します。
果物や野菜の色素や辛味成分はフィトケミカルであり、体内では抗酸化物質として作用します。例えばトウモロコシの黄色色素のルテイン、トマトの赤色色素のリコピン、ニンジンのオレンジ色色素のカロテン、ブルーベリーの青色色素のアントシアニンなどがあります。

分類 | 名称 | 含まれる植物 | 機能・効果 |
ポリフェノール | アントシアニン | ブルーベリーなど | 抗酸化作用 |
イソフラボン | 大豆など | 更年期障害改善・骨粗鬆症予防 | |
セサミノール | ゴマなど | 抗酸化作用・動脈硬化予防 | |
クルクミン | ウコンなど | 抗酸化作用・抗炎症作用・肝機能改善 | |
有機硫黄化合物 | スルフォラファン | ブロッコリースプラウトなど | 抗酸化作用・解毒作用・がん予防 |
アリシン | ニンニクなど | 抗酸化作用・動脈硬化予防 | |
テルペノイド | ルテイン | ホウレンソウなど | 抗酸化作用 |
リコピン | トマト・スイカなど | 抗酸化作用 | |
リモネン | 柑橘類 | 抗酸化作用・抗アレルギー作用 | |
フィトステロール | 植物油 | コレステロール減少 | |
糖関連化合物 | β-グルカン | キノコ類 | 免疫力向上 |
サポニン | 豆類・穀物・ハーブ | 血糖値上昇抑制活性 | |
アルキルフェノール誘導体 | カプサイシン | トウガラシ類 | 体熱生産作用 |
ギンゲロール | ショウガ | 体熱生産作用 |
クルクミンについて
クルクミンはショウガ科ウコン属の多年草であるウコン(英名:ターメリック)などに含まれる黄色のポリフェノール化合物です。スパイスやウコン色素(添加物:着色料)として利用されています。
生薬のウコンは、秋ウコン、春ウコン、ガジュツ(紫ウコン)の種類があり、ガジュツは胃腸管系の漢方薬として使用されています。
秋ウコンや春ウコンは伝承的に肝機能によいと言われ、「アルコールの友」として親しまれています。クルクミンは秋ウコンに豊富に含まれています。


クルクミンの効果
クルクミンには抗腫瘍作用、抗酸化作用、抗アミロイド作用、抗炎症作用などの生理作用が知られているんです。
抗炎症作用・抗酸化作用
クルクミンの抗炎症作用は、アラキドン酸カスケードでの炎症物質の生合成阻害によるものと考えられています。また、悪玉である活性酸素を捕捉することで、脂質の酸化やDNA傷害を防ぐ働きがあるとされています。
クルクミンの投与で、炎症マーカーである血中CRP値が有意に低下したという報告もあります。
抗腫瘍作用
クルクミンはがん細胞に対して特異的にアポトーシス(細胞死)を誘導するとの報告があります。
また、クルクミンはがんをはじめとした多くの炎症性疾患に関連する転写因子であるNF-κBを抑制することが知られています。
発がん物質を投与されたマウスやラットでの実験では、大腸癌の発症において有意な減少が見られたとの報告があります。
認知症抑制
カリフォルニア大学の研究で、アルツハイマー型認知症の原因物質である脳におけるβアミロイドの蓄積を抑制し、アミロイド斑を減少させることが示されました。
認知機能とカレー食の関係を調査した研究では、カレーを滅多に食べない人達に比べると、月1回以上食べる人達は認知症になるリスクが約半分だったという報告もあります。
既に認知機能障害のある人やアルツハイマー病の人に対し、クルクミンを摂取してもらったところ、血中βアミロイドの量が減少したデータもあります。

