脳の信号、情報伝達物質の変化
高齢者は「もの忘れ」を良くしますね。それは加齢に伴い脳の神経細胞の数が減少するからです。これは自然なこと、無理のないことです。神経細胞の情報伝達には、情報伝達物質と呼ばれる化学物質が信号の役割を果たしています。ノルアドレナリン、ドパミン、セロトニン、アセチルコリン…、この他にもたくさんの化学物質があります。加齢によりこれらの化学物質の量が変化します。減少するものが多いのですが、増加するものもあります。バランスがやや不安定になってしまいます。

加齢による脳の変化
情報を受け取る神経受容体(ニューロレセプター)が存在します。加齢に伴い神経受容体の一部が失われてしまいます。また、脳へ酸素や栄養を運ぶ血流量も減少します。このような変化により、脳の機能が低下してしまいます。それゆえ当然、反応スピードや作業スピードが遅くなります。しかしながら時間があれば正確に行うこともできます。最近の記憶や新しいことを覚える能力が低下します。

もの忘れと認知症の違い
「もの忘れ」と「認知症」は異なるものです。この区別は大切です。「もの忘れ」は加齢に伴い、ごく自然に起こる現象です。誰にでも起こる現象なのです。一方、「認知症」は疾患です。若い人にも起こりうる疾患なのです。アルツハイマー型痴呆症は脳にアミロイドβやタウと呼ばれる特殊なたんぱく質が溜まり、神経細胞が破壊され、減少することにより発症します。以下のような症状の違いがあります。
加齢による「もの忘れ」
・ 体験したことの一部を忘れる
・ ヒントがあれば思い出す
・ 日常生活に支障はない
・ 判断力は低下しない
「認知症」
・ 体験したこと自体を忘れる
・ ヒントがあっても思い出せない
・ 日常生活に支障がある
・ 判断力が低下する
