大豆などに含まれるポリフェノールの仲間、イソフラボン。植物性女性ホルモンとも呼ばれ、がんリスクの軽減と関連性が有ります。
イソフラボンはポリフェノール
イソフラボンはポリフェノールの一種で、大豆や大豆製品(納豆、豆腐、味噌、きな粉)、クズなどに多く含まれています。
イソフラボンはエストロゲン(卵胞ホルモン)様の作用を有しており、腸内バクテリアの活動により、代謝が影響すると言われています。
ダイドゼインという大豆イソフラボンは高いエストロゲン様作用を有するエクオールに代謝されます。

エストロゲン様作用
エストロゲンはエストロゲン受容体に結合することで効果を発揮します。
エストロゲン受容体は脳、肝臓、心臓、骨など、多くの組織に存在します。
大豆イソフラボンやフィトエストロゲン(植物性エストロゲン)はエストロゲン受容体と結合することができます。
結合することにより、エストロゲン作用を発揮する組織もあれば、阻害する組織もあります。
がんとの関連性
ホルモン関連腫瘍である、乳がん、子宮がん、前立腺がんの危険度を低下させることも示唆されているようです。
疫学調査では、乳がんや前立腺がんの死亡率は、尿中イソフラボンの排泄量(摂取量)と逆相関があり、摂取量が多いほど死亡率が低い傾向が示されています。
胃がんにおいても、国内の疫学調査の結果、同様の結果が示されています。
乳がん患者がイソフラボンを摂取してもよいのか、死亡率への悪影響はないのか、長い間議論が有りました。
アメリカ・タフツ大学の研究によれば、乳がんと診断された人の死亡率について、大豆摂取量が最も高い群と最も低い群を比較。
その結果、摂取量が高い群の死亡リスクが21%低いとの報告が有ります。研究結果は「Cancer」オンライン版に掲載されました。
イソフラボン:その他の有用性
その他の研究報告では、LDLコレステロールの低下作用、動脈硬化の抑制作用、骨粗しょう症や骨折リスクの低減効果、認知機能改善効果、肌質改善などの美肌効果についての知見や示唆が有ります。


フィトケミカルについて
フィトケミカルは植物中に含まれる化合物で、特に健康に役立つ成分を意味しています。例えばヤナギの樹皮から単離されたアスピリンもフィトケミカルに相当します。
果物や野菜の色素や辛味成分はフィトケミカルであり、体内では抗酸化物質として作用します。例えばトウモロコシの黄色色素のルテイン、トマトの赤色色素のリコピン、ニンジンのオレンジ色色素のカロテン、ブルーベリーの青色色素のアントシアニンなどがあります。

分類 | 名称 | 含まれる植物 | 機能・効果 |
ポリフェノール | アントシアニン | ブルーベリーなど | 抗酸化作用 |
イソフラボン | 大豆など | 更年期障害改善・骨粗鬆症予防 | |
セサミノール | ゴマなど | 抗酸化作用・動脈硬化予防 | |
クルクミン | ウコンなど | 抗酸化作用・抗炎症作用・肝機能改善 | |
有機硫黄化合物 | スルフォラファン | ブロッコリースプラウトなど | 抗酸化作用・解毒作用・がん予防 |
アリシン | ニンニクなど | 抗酸化作用・動脈硬化予防 | |
テルペノイド | ルテイン | ホウレンソウなど | 抗酸化作用 |
リコピン | トマト・スイカなど | 抗酸化作用 | |
リモネン | 柑橘類 | 抗酸化作用・抗アレルギー作用 | |
フィトステロール | 植物油 | コレステロール減少 | |
糖関連化合物 | β-グルカン | キノコ類 | 免疫力向上 |
サポニン | 豆類・穀物・ハーブ | 血糖値上昇抑制活性 | |
アルキルフェノール誘導体 | カプサイシン | トウガラシ類 | 体熱生産作用 |
ギンゲロール | ショウガ | 体熱生産作用 |