微量元素(ミネラル)
身体を構成する元素の中で、基本組織を構成する元素として、炭素(C)、水素(H)、酸素(O)、窒素(N)が有ります。
加えて、ナトリウム(Na)、カリウム(K)、カルシウム(Ca)、マグネシウム(Mg)、リン(P)、クロル(Cl)など、比較的体内量が多い元素を更に除外し、比較的微量に存在するものの、不足により欠乏症が生じる元素を「必須微量元素」と言います。
生体内の微量元素
鉄(Fe)、亜鉛(Zn)、銅(Cu)、クロム(Cr)、マンガン(Mn)、セレン(Se)、モリブデン(Mo)、ヨウ素(I)の8種類があります。
不足することで、欠乏症が発現しますので、特に経口からの食事が十分にできない場合、経管栄養剤や栄養輸液への添加が重要となります。

主な欠乏症
鉄(Fe)
鉄欠乏性貧血
亜鉛(Zn)
皮膚炎、脱毛、口内炎、味覚異常、貧血、男性機能異常、易感染症、骨粗しょう症、成長障害
銅(Cu)
貧血、汎血球減少症、神経損傷、骨粗しょう症、錯乱、抑うつ
クロム(Cr)
マンガン(Mn)
皮膚炎、成長障害、血清コレステロール低下
セレン(Se)
ケシャン病(克山病)、カシン・ベック病(心筋壊死など)、甲状腺機能低下
モリブデン(Mo)
亜硫酸毒(頻脈、過呼吸、昏睡)、成長遅延、尿酸代謝障害
ヨウ素(I)
甲状腺腫、甲状腺機能低下症、粘膜水腫、妊孕性低下(死産、自然流産、乳児の死亡リスク増大)

鉄(Fe) |
フェリチン(タンパク質)で貯蔵される。赤血球のヘモグロビンは鉄による酸素の運搬などを行う。レバー、シジミ、アサリ、ホウレンソウ、ヒジキ、ゴマ、海苔、パセリなどに多く含まれる。 |
亜鉛(Zn) |
インスリンをはじめとする様々な酵素に含まれる。免疫機能、味覚感知、成長、精子形成などを行う。牡蠣、レバー、牛肉、チーズ、卵、納豆、牛乳などに多く含まれる。 |
銅(Cu) |
酵素などの銅タンパク質として存在し、電子伝達系、酸素輸送、ヘモグロビン合成などを行う。牡蠣、牛レバー、ロブスター、アボカド、グリーンオリーブ、ココア、黒コショウなどに多く含まれる。 |
クロム(Cr) |
インスリンの受容体と結合に関与し、糖代謝において重要な働きをする。レバー、エビ、ビール酵母、穀物、豆類、キノコ類、黒コショウなどに含まれる。 |
マンガン(Mn) |
骨の形成や代謝、消化機能に関与する。ショウガ、日本茶、シソ、シジミ、クリ、モロヘイヤ、納豆、パセリなどに多く含まれる。 |
セレン(Se) |
セレンシステインとして存在し、活性酸素からの防御機能の働きがある。抗酸化作用のある酵素、甲状腺ホルモンを活性化する酵素にも含まれる。かつおぶし、からし、牛肉、豚肉、タラコ、マグロはじめ各種魚類、ヒマワリの種などに多く含まれる。 |
モリブデン(Mo) |
酵素として存在し約20種類が知られている。窒素をアンモニアに変換するニトロゲナーゼ、尿素合成に関与するキサンチンオキシダーゼもモリブデン酵素の一つである。大豆等の豆類、米、ゴマ、落花生、豚肉などに多く含まれる。 |
ヨウ素(I) |
甲状腺ホルモンの合成に重要な微量全素。ワカメやヒジキなどの海藻類、卵、アワビ、タラコ、ウナギ、牡蠣、あさり、かつお節などに多く含まれている。 |