健康を害するダニ
ダニは刺すことでヒトに被害(刺咬被害)を及ぼすことに加え、ハウスダストによるアレルギーの原因にもなります。世界に45,000種類ほど存在すると言われていますが、害を及ぼすものはほんの一部のようです。
ツメダニ
梅雨時から秋口に繁殖します。吸血はしないが人を刺し体液を吸います。特に8月から9月は刺咬被害が増加します。
イエダニ
元々海外から日本に入ってきたダニです。6月から9月に繁殖します。ネズミや鳥に寄生し吸血しますが、ヒトに対しても吸血します。ネズミの多い繁華街のある都市部で被害が見られます。
ヒョウヒダニ(チリダニ)
一年を通して繁殖します。死骸や糞がアレルギーを引き起こします。ヒトを刺すことはありません。
コナダニ
梅雨時から秋口に繁殖します。ヒトを刺すことはありませんが繁殖力が強いのが特徴です。食品(特に粉もの)や畳に発生します。ツメダニの餌となり、間接的にツメダニによる刺咬被害が増加することがあります。
マダニ
野外で活動するダニです。野外で皮膚を露出して活動する場合注意を要します。体温、体臭、振動に反応してヒトに飛び移るようです。刺されると炎症を起こし腫れあがります。マダニが媒介する感染症(後述)が問題となっています。
ヒゼンダニ
吸血はしませんが人体に寄生し、「疥癬」(後述)という皮膚病の原因となります。
ツツガムシ
ツツガムシもダニの一種です。幼虫はネズミ等の哺乳類の皮膚に寄生します。ツツガムシ病はツツガムシそのものが感染するのではなく、ツツガムシが媒介するリケッチアによる感染症です。
リケッチアとは
マダニが媒介する感染症
日本紅斑熱
日本紅斑熱リケッチアによる感染症です。発熱、発疹(紅斑)、頭痛、倦怠感、関節痛、筋肉痛等の症状が発現します。テトラサイクリン系の抗生剤で治療します。
Q熱
コクシエラ菌による感染症で、わずかな菌数でも感染力が非常に強いです。発熱、頭痛、悪寒、筋肉痛、咽頭痛、倦怠感等のインフルエンザ様症状があり、死亡率は1~2%といわれます。テトラサイクリン系またはニューキノロン系の抗生剤で治療します。
ライム病
ボレリアスピロヘータによる感染症です。刺咬部が紅斑となり、リンパ節腫脹の他、発熱、頭痛、悪寒、筋肉痛、咽頭痛、倦怠感等のインフルエンザ様症状が発現します。また、神経症状、不整脈等の心疾患、角膜炎等の眼症状、関節炎、筋肉炎、脳髄膜炎に至ることが有ります。テトラサイクリン系の抗生剤が有効とされます。
スピロヘータとは
回帰熱
ライム病同様、ボレリアスピロヘータによる感染症です。症状もライム病に類似しますが、肝炎、肺炎、脾腫等の症状も有ります。
脳炎
ダニ媒介性脳炎ウイルスによる感染症です。インフルエンザ様症状や、痙攣・眩暈・知覚症状などの中枢神経系症状が発現します。有効な治療法はありません。
重症熱性血小板減少症候群
重症熱性血小板減少症候群ウイルス(SFTSV)による感染症です。発熱、悪心、嘔吐、腹痛、下痢、頭痛、筋肉痛、意識障害、リンパ節腫脹、皮下出血などの症状が発現し、死亡率は10~30%といわれます。有効な治療法はありません。
ヒゼンダニによる「疥癬」
ヒゼンダニは肉眼では見えない小さなダニです。皮膚の角質層に「疥癬トンネル」を掘って寄生します。トンネルを掘りながら卵を産み増えて行きます。皮疹、丘疹、激しい痒みが発現します。免疫力が低下するとダニが数100万寄生する「ノルウェー疥癬」となります。

