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新型コロナウイルス感染症(COVID-19)禍が今後しばらくは収束しないであろう理由とは?

2019の暮れからにわかに話題となり、2020年早々に国内で発生した新型コロナウイルス感染症(COVID-19)。

今や日本中に広がり、2020年9月現在で感染者(PCR検査陽性者)7万人以上、死亡者数1,300人以上という状況。

まだまだ感染は拡大していくと予想されます。

なぜ新型コロナウイルス感染症(COVID-19)禍の収束は困難なのでしょうか?



COVID-19の特徴

新型コロナウイルス感染症の最大の特徴は、①潜伏期間が10~2週間と長いこと②無症状の感染者が多いこと、③ワクチンが無いことに尽きます。

この3つの特徴はこの感染症の蔓延を防ぐことを極めて困難にしています。

天然痘との違い

かつて世界から根絶に成功した感染症が有ります。天然痘(痘そう)です。

天然痘も同じくウイルスで、DNAウイルスの仲間であり、致死率が非常に高い感染症です。

潜伏期間は7~12日と新型コロナウイルスと同程度ですが、発熱、疼痛、皮膚症状等の激しい症状が現れます。

即ち、患者の特定と隔離が可能であり、その後に開発されたワクチンの効果も有り、収束。撲滅ができました。

COVID-19の感染時期

COVID-19は飛沫感染、接触感染により感染が拡大します。

今のところ発症日から2日前までの期間が最も患者から飛沫するウイルス量が多いとされますので、感染から5~10日程度に急激に飛沫拡散が起こります。

しかし、飛沫拡散が起こっている状況において、感染者にはCOVID-19の症状である発熱や咳等の呼吸器症状は出ていません

この状況での感染者が特定できないのです。



スーパースプレッダーとサイレントスプレッダー

感染症の広がりを抑制するために大切なことは、新型コロナ禍の新しい生活習慣になります。

ソーシャルディス・ディシタンシングやマスクの着用等です。

不特定多数の人が集まる場所での飲食や、換気の悪い場所で大声を出すなどによるクラスターの発生が有ります。

これらについては連日のニュース等により、かなりの国民が知識として習得しているのではないでしょうか。

それでも、新しい生活習慣をしない人、できない人は多く存在します。

一人で多くの人にウイルス感染を伝播するヒトを「スーパースプレッダー」と言います。

また、無症状の感染者で、感染対策ができない人を「サイレントスプレッダー」と言います。

子供たちには対策は難しく、症状も発現しにくいので、サイレントスプレッダーになり易いとの米国での研究結果も有ります。



自然免疫の状況

COVID-19の死亡率は日本人では約2%弱であり、ほとんどの人たちは治癒していきます。

当然感染歴が有れば免疫が獲得されます。

しかし、この免疫力は時間の経過とともに低下していくことが分かってきました。

中には一度感染した人が再度感染するケースが世界中から報告されています。

コロナウイルス感染は一般的な風邪の中にもあります。

一度風邪を罹患すれば今後二度と罹患しない、という生涯免疫は獲得されません

同じコロナウイルスである新型コロナウイルスでも同じである可能性は非常に高いのではないでしょうか。

免疫やスプレッダーについてはこちらも参照してください。

集団免疫による終息の条件

日常生活において接触する人々が免疫を持つことで、感染の伝播を防ぐことができます。

これを「集団免疫」と言います。

集団免疫による効果を得るためには、集団の約70%が免疫力を有している必要が有ります。

免疫力が低下する、あるいは免疫が消える可能性のある新型コロナウイルスについて、果たして集団免疫による終息が可能でしょうか?

非常に困難ではないかと考えます。

集団免疫についてはこちらも参考にどうぞ。



ワクチンの効果

現在世界各国でワクチンの開発が行われています。

ロシアや中国などは、いち早くワクチン接種を行うために、安全性を確認する臨床試験(フェーズ1、フェーズ2、フェーズ3)のうちのフェーズ3(多くの被験者に投与する試験)を割愛しています。

これは非常に危険な行為です。

英国のアストラゼネカ社は、被験者の副作用の発現により、一時臨床試験を中断し、日本においても同様に中断をしています。

これらのワクチンにより強い免疫力が獲得し、かつ持続的な効果が得られれば、ワクチン開発が成功したことになります。

しかし、一時的に免疫が獲得できても、時間と共に消失してしまう可能性は前述の通りなのです。

その場合の方法はインフルエンザワクチンのように、繰り返し接種することです。

インフルエンザの場合、季節による流行期がはっきりしていますので、日本では毎年10月の後半から暮れの期間に接種されます。

しかし、新型コロナウイルス感染症は季節とは無関係なので、場合によっては年に何回もワクチン接種を行わなければいけません。

副作用の発現率も高まる可能性が有ります。

ワクチン効果についてはこちらも参考にどうぞ。

新型コロナ抗体は消えてゆく?果たしてワクチンに効果はあるのか…

現在、世界各国の研究者が新型コロナワクチンの開発にしのぎを削っています。 日本でも大阪大学やシオノギ製薬などが実用化まであと一歩というところのようです。 一方でCOVID-19に罹患し、自然免疫、即ち ...

 

終息するための条件

このような新型コロナウイルス感染症を終息させるには、

①確実な免疫力が獲得できるワクチンが開発される。

②多くの日本人が同時期にワクチンの接種をし、70%以上の国民が免疫を獲得する。

この二つの高いハードルを越える必要があるのです。

ただ、これを達成したとしても、再度流行する可能性は有ります。

③海外から新たにウイルスが入ってくる。

④その時点で免疫力の低下により集団免疫の効果が無くなっている。

以上から、今回のコロナ禍は容易に収束することは極めて困難と言わざるを得ません。

一人ひとりがしっかりと対策を行い、また家族や職場で話し合い、新しい生活様式をしっかりと順守し、感染しないことが非常に大切なのです。



かっぱ君
安全なワクチンが開発されれば、定期接種による防疫も可能になります。
万が一感染しても、効果の高い医薬品が今後開発されるかもしれませんね。
妖精
小悪魔
新しいスタイルの飲み会を早く考えなきゃ、やっていけないわ!

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はねかわ

医療の世界に身を置き、常に情報収集。エビデンス情報が確かな承認医薬品に加え、積極的なエビデンス収集がなされにくいサプリメントや健康食品にもスポットを当て、予防医学、プレメディケーションの分野に貢献できればと考えています。今後、お金の話も取り入れていきたいと思います。専門分野は薬学、有機化学。薬学修士。

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