


世界で開発中のワクチン
海外で先行しているワクチンにmRNAワクチンとウイルスベクターワクチンが有ります。
どんなワクチンでしょうか?
製薬会社 | ワクチンタイプ |
ファイザー/ビオンテック | mRNAワクチン |
モデルナ | mRNAワクチン |
アストラゼネカ/オックスフォード | ウイルスベクター |
J&J | ウイルスベクター |
塩野義/感染研/UMNファーマ | 組み換えタンパク |
アンジェス阪大/タカラバイオ | DNA |
第一三共/東大医科研 | mRNA |


mRNAワクチンとは
mRNAの遺伝子情報から何と新型コロナウイルスのスパイクタンパク質を作成することができます。細胞内のリボソームがmRNA情報をタンパク質に翻訳するのです。
ウイルスのスパイクとはウイルスの表面にあるトゲトゲ部分で、このトゲトゲがヒトの細胞表面のACE2という酵素と結合し細胞内に侵入していきます。
このトゲトゲの部分のみを作成し、トゲトゲに対する抗体を作るのがmRNAワクチンなのです。
抗体が産生されれば、侵入してきたウイルスのトゲトゲに一斉攻撃を仕掛けて撃退するのです。

ウイルスベクターワクチンとは
ベクターとは「運び屋」のことで、ヒトに対し感染力のあるウイルス(アデノウイルスなど)に遺伝子を組み込みヒトに投与します。
感染した運び屋ウイルスが組み込んだ新型コロナウイルスのスパイクタンパク質遺伝子から細胞内でスパイクタンパク質を作成します。
そのたんぱく質に対抗する抗体が作成されます。
チンパンジーのアデノウイルスを使用すれば、ヒトの体内でウイルスの複製はできません。
COVID-19ワクチンの接種方法、接種回数
COVID-19ワクチンは筋肉内注射で21日あるいは28日間隔で2回接種します。
日本のワクチンは皮下注射が一般的ですが、海外では筋肉注射が主流です。
筋肉内注射の副作用として「疼痛」があり、投与判断のネックになるかもしれません。
後述の有効性を考慮すれば、有効性が安全性を上回るものと個人的には考えています。

COVID-19ワクチンの有効性・安全性
COVID-19ワクチンの有効性
米国での臨床試験の結果から、ファイザー社とモデルナ社のワクチンの有効性は何れも90%以上という大変優秀な成績が得られています。
90%の有効率とは「非接種群の発症率よりも接種群の発症率の方が90%少ない」ということを示しています。
発症リスクが10分の1になることを意味しています。

COVID-19ワクチンの効果が発現するまでに要する期間は?
ワクチンを接種してからすぐに抗体ができ効果が得られる訳ではありません。ある程度の時間を要します。
ワクチン接種率が高いイスラエルのデータから、接種後14日以内では感染率は比較的高く、15日を経過した人ではかなり感染率が低くなることが分かっています。
(ただしゼロではありません。)
接種2週間後にはワクチンの恩恵が現れてくると考えて良さそうです。
ワクチンの効果とは、一旦新型コロナウイルスに感染したとしても、抗体によりウイルスは増殖することなく死滅していき、発症を免れることなのです。
COVID-19ワクチンの持続時間は?
はっきり言いて分かりません。

抗体価(抗体の量)は接種後に増加していき、何処かの時点で減少していきます。
どのくらいの期間、抗体価が保てるのかは、今後の抗体価に関する疫学調査結果を待つのみです。
(追記)
ファイザー社は6~12か月後に3回目の追加摂取、更に年1回の再接種の必要性に言及しています。ウイルス変異への対応に必要となることを示唆しています。
変異株についてはこちらを参照。
COVID-19ワクチンの安全性

どんなワクチンにも副作用は有ります。
ワクチンは免疫反応を誘起させて、抗体を産生させるものです。
免疫反応は炎症反応であり、何らかの症状が起きるのは当たり前です。
むしろ、何の生体反応も起きなければ、免疫反応が起きていない、つまりワクチンの効果が現れていない、とも言えます。
副作用が現れるのは、効果(抗体産生)が発現している裏返しと言えるのです。
過去の疫学調査において、ワクチン後進国である日本のワクチンは他国のワクチンに比べ副作用が非常に少ないものの、効果も低いという結果が出ています。
ワクチン後進国の日本において、副作用を懸念するあまりワクチンの有効性に背を向ける傾向が有ります。
多くの高齢者や基礎疾患を有する人々が亡くなっている現状を考えれば、副作用ばかり心配し過ぎるのは得策とは思えません。(個人的意見)
ファイザー社、モデルナ社の有害事象 |
局所反応 |
疼痛、発赤、腫脹 |
全身反応 |
発熱、倦怠感、頭痛、寒気、嘔吐・嘔気、筋肉痛、関節痛 |
疼痛は(66~90.1%)で見られます。接種後12~24時間が特に強く発現するようです。
倦怠感(33.3~67.6%)、頭痛(24.5~62.8%)もかなり高頻度に発現するようです。
発熱は1回目(0.3~4%)よりも2回目(10.2~17.4%)の接種の方が多く発現しています。
アストラゼネカ社のワクチンに血栓症の報告があります。
ワクチンと血栓症との関連性についてはこちらを参照。
-
-
新型コロナ感染症や新型コロナワクチン接種でなぜ血栓症が起こり易いのか?その原因を考察してみる
新型コロナウイルス感染症(COVID-19)では多彩な血栓症の発症が見られ、多くの犠牲者が出ています。また、感染予防の切り札である新型コロナワクチンの接種でも副作用として血栓症の発症があり、アストラゼ ...
COVID-19ワクチンのアナフィラキシー反応リスク
mRNAワクチンのアナフィラキシー反応は10万人に1人と言われています。
一般のワクチンでの「100万人に1人」と比較すれば、多い頻度になります。
アナフィラキシー反応が出現しやすいペニシリンでは「5000人に1人」です。
原因はワクチンに含まれている「ポリエチレングリコールPEG」という物質のようです。
COVID-19ワクチンの優先接種対象者について
国では、医療関係者、高齢者、基礎疾患を有する方を優先することが決定されています。
COVID-19ワクチンの小児への投与は?
ファイザー/ビオンテック社の臨床試験では対象が16歳以上、モデルナ社では対象が18歳以上でした。
小児に対する有効性・安全性のエビデンスは現在のところありませんので、推奨はされません。
COVID-19ワクチンの接種はいつから始まるのか?
現在、国が体制を構築しています。
順調にいけば、医療従事者の接種が早ければ令和3年の2月後半~3月中に、高齢者の優先接種が4月頃に開始されます。
しかし、海外でワクチンの生産の遅れが顕在化し始めていることから、欧米を優先することで日本へのワクチン供給が遅延する可能性も否定できないと考えています。
COVID-19ワクチンの接種に関する判断
ワクチン接種は任意です。
接種のリスクも有りますが、接種しないリスクも有ります。
自分自身や家族のことを考えて各自で判断しますが、接種するメリットは大きいと考えます。
なお、アレルギー体質の方は慎重になっても良いかと思います。
