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新型コロナウイルスの変異株の危険性とウイルス型を特定する意味について考えてみる

新型コロナウイルスに限らず、ウイルスは変異します。ウイルスは宿主(ヒトの細胞など)の中でコピーを作り、ものすごい速さで増殖します。

ウイルス変異はコピー回数に応じて発現していくので、感染拡大すれば、色んな地域で様々な変異株が発生するのは至極当たり前のことです。

変異株の種類と、特定をし、特徴を知ることの意義について考えてみます。

変異は免疫からの逃避

宿主の免疫によりウイルスは増殖を阻止されます。変異は意図せず発生し、ある種の変異株は免疫に対する抵抗力が偶然に授けられることが有ります。ウイルスが意図的にその力を持つわけではないのです。その力というのが免疫逃避能です。

結果的に抵抗力のある変異株はより多く増殖できることとなり、やがては従来株に取って代わります。感染力が強いウイルスの誕生です。感染力が強ければ当然重症化もしやすくなります。免疫に対する抵抗性が高まればやワクチンの効果も低下させる可能性が有ります。



世界各地で分離される変異株

国立感染症研究所のHPを参考に変異株の種類についてみていきます。変異株は下記の2つに分類されるようです。

VOC:懸念される変異株(Variants of Concern)

VOI:注目すべき変異株(Variants of Interest)

 

VOC

B.1.1.7

イギリスで確認された変異株、N501Yに変異が有ります。世界130ヶ国で報告されています。国内では関西圏で増加傾向であると言われます。感染・伝播性の増加が懸念され、入院・死亡リスクの増加も懸念されます。ワクチンの中和能を低下させる可能性があると言われます。

 

B.1.351

南アフリカで確認された変異株、N501YとE484Kに変異が有ります。世界80ヶ国で報告されています。感染・伝播性の増加が懸念され、入院・死亡リスクの増加も懸念されます。ワクチンの中和能を低下させる可能性があると言われます。実際にアストラゼネカ社のワクチンは本変異株に有効性を示さなかった、とのデータがあるようです。

 

P.1系統

ブラジルで確認された変異株、N501YとE484Kに変異が有ります。世界45ヶ国で報告されています。感染・伝播性の増加が懸念されます。ワクチンの中和能を低下させる可能性があると言われます。

 

P.3系統

フィリピンで報告された変異株、N501YとE484Kに変異が有ります。従来株よりも感染しやすく、免疫やワクチンの効果を低下させる可能性があると言われます。国内では関東・東北地方で増加しているようです。

B.1.617

インド株であり、この系統はB.1.617.1〜3に分類されます。国立感染症研究所ではVOIからVOCに変更されました。インドでの検出割合は、B.1.617.1が35%、B.1.617.2が18%を占めており、特にB.1.617.2の割合が増加傾向にあるとのこと。

英国では、このB.1.617系統は、感染・伝播性が高く、英国での新型コロナウイルスの大半を占めているB.1.1.7から置き換わりつつあるとのことです。特にB.1.617.2は少なくともB.1.1.7と同程度の感染・伝播性があると考えられています。

ワクチンの中和能及び抗体医薬品の効果を低下させる可能性があると言われます。



VOI

R.1

起源不明のE484K変異を有するものがR.1系統と呼ばれています。国内において実施されたCOVID-19ゲノムサーベイランスの全国調査では、関東から東北地方を中心に検出されました。特に関東と東北地方では、R.1系統株の検出数が増加傾向にあるとのことです。

 

B.1.427及び B.1.429

米国疾病対策センター(CDC)はVOCに位置づけています 。スパイクタンパク質にL452RとD614Gという2つの変異を有しているとのことです。感染・伝播力が強く、既存の治療に抵抗を示します。中和抗体価の中程度の低下が示唆されているとのことなので、一度ついた免疫力を低下させる可能性が有ります。

 

変異株に対する対策

通常株も変異株も基本的に治療方法も予防対策は変わりません。

3密の回避(特にリスクの高い5つの場面、飲酒を伴う懇親会等、大人数や長時間におよぶ飲食、マスクなしでの会話、狭い空間での共同生活、居場所の切り替わり)に加えて、マスクの着用、手洗いなどが、これまでと同様に有効になります。

医療機関により変異株の感染患者の治療区画を分けている施設もあるようですが、すべての患者についてウイルス型を調べている訳でもなく、そうする必要性があるのかは不明です。

自宅やホテル療養などの入院基準、治療基準や退院基準なども従来型との区別は有りません。

 

変異株に対するワクチン効果

現在流通している通常株に対するワクチンの効果が減弱する可能性が有ります。現在、分離された変異株に対するワクチン開発が模索されているようですが、今後も新たな変異株が発生する可能性は十分に考えられます。

インフルエンザワクチンのように複数の株由来のワクチンが必要になるかもしれません。(インフルエンザワクチンではA型2種類、B型2種類の計4種類)

ウイルス型の同定が必要であるとすれば、変異株に対応したワクチンが開発された後、ということかもしれません。

 

龍じい
これでは、いたちごっこじゃのう~。ワクチンができれば収まるとと思ったのじゃが心配じゃわい。

 

ワクチンの効果の持続期間も気になりますね。
妖精

 

小悪魔
兎にも角にも予防対策よね。

 



 

 

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はねかわ

医療の世界に身を置き、常に情報収集。エビデンス情報が確かな承認医薬品に加え、積極的なエビデンス収集がなされにくいサプリメントや健康食品にもスポットを当て、予防医学、プレメディケーションの分野に貢献できればと考えています。今後、お金の話も取り入れていきたいと思います。専門分野は薬学、有機化学。薬学修士。

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