歯周病とは?
歯周病の原因
ひと昔は「歯槽膿漏」という表現が多かった「歯周病」。しっかり歯磨きをしないと歯周病菌が歯や歯肉に残存し、分泌物が歯にくっ付くことで歯垢ができます。歯垢は「プラーク」とも呼ばれ、1mgあたり10億個の細菌が住み着くそうです。この細菌が歯周病の原因となります。歯周病菌の種類は300種類とも言われ、特に3種類の菌「Prophyromonas gingivalis」「Tannerella fosythia」「Treponema denticola」が歯周組織を破壊する主犯格のようです。
歯周病が全身に及ぼす影響は?
歯周病は歯やその周囲へのダメージのみで収まりません。最近の知見では、多くの疾患と関連していることがわかってきました。

動脈硬化との関連性
歯周病菌は容易に血液中に入り込みます。歯周病菌が血管内に入り込むことにより、血管内にプラーク(沈着性の物質)が生じ動脈硬化を引き起こす可能性があるようです。
心筋梗塞・狭心症との関連性
血管内で生じたプラークが冠動脈に詰まれば心筋梗塞や狭心症を引き起こす可能性があります。

脳梗塞との関連性
プラーク自体が何らかの原因で血中に入り込み、頸動脈を経て脳に移行し、脳血管を詰まらせることで脳梗塞を発症することがあります。助かっても半身不随になる危険な疾患です。
糖尿病との関連性
糖尿病患者さんに歯周病を合併している場合が多く、糖尿病が改善することで歯周病も改善するとの調査結果もあるようです。歯周病に罹患している人の5人に1人は2型糖尿病を持っているという研究結果もあります。

誤嚥性肺炎との関連性
高齢になると飲み込む筋力が低下し、食事や唾液を誤嚥しやすくなります。歯周病菌が誤嚥により肺に入り込むことで肺炎を発症します。誤嚥性肺炎の予防には口腔内ケアが重要となります。

骨粗しょう症との関連性
骨粗しょう症に罹患すると歯がもろくなり歯周ポケットが拡大し、歯周病菌が繁殖、歯周炎が悪化します。
歯周病と関節リウマチとの関連性
関節リウマチ患者が歯周病を合併する確率が高いことから、何らかの関連性があるといわれていますが、明確ではありません。ある研究では特定の歯周病菌である「A. actinomycetemcomitans」という細菌が関与する可能性が示唆されています。
乳がんとの関連性
閉経後の女性を対象とした研究で、乳がんと診断された女性のうち、歯周病がある女性は全体より14%発症率が高く、そのうち喫煙歴がある女性は36%とさらに高い発症率であった、との研究結果があります。

口腔内ケアはとても重要です!
様々な疾患との関連性が指摘されている歯周病。口腔内ケアは単に歯周病を予防するだけではなく、身体機能の維持に大変重要であることは明白です。また口臭を抑えたり、味覚異常が改善されたりと、QOL(Quality of Life)の改善にもつながります。特に高齢者の口腔内ケアは重要なので、しっかりアシストしましょう。