ビタミンとは
生物に必要な栄養素のうち、たんぱく質のような組織の構成成分ではなく、炭水化物や糖質のようなエネルギー源でもない物質で、ミネラルでもなく、微量ながら補酵素として働き、不足により欠乏症などが生じる物質のいくつかが「ビタミン」と定義されています。
もっとも最近ビタミンに認定されたのは「シアノコバラミン」で、1948年にビタミンB12と名づけられました。
以来半世紀以上、新たにビタミンと定義された物質はありません。
ビタミン様物質
ビタミンには認定されてはいませんが、ビタミンの様な働きをする物質はたくさんあります。それらをビタミン様物質と言います。
かつて、ビタミンとして認定され、取り消されたものもあるようです。
例えば「カルニチン」は脂肪燃焼を助けるビタミン様物質で、ビタミンB群に分類されたこともあります。必要な栄養素であることは変わりありません。
また、電子伝達体でかつて心不全の効能で医薬品として認められていた「ユビキノン」は、ビタミンQと定義されたことがあります。
ユビキノンは、一般用医薬品あるいはサプリメントとして販売されています。コエンザイムQ10の名前の方が聞き覚えがあろうかと思います。
ピロロキノリンキノン(PQQ)
PQQは1979年に発見されたキノン化合物は酸化還元補酵素で、動物実験において、欠乏症(繁殖能力の低下、成長障害、脱毛、皮膚障害など)が見出されています。
ヒトにおいても過剰なリジンを分解する過程で補酵素として働くことが示され、ビタミンに昇格する可能性が出てきました。
PQQを含む食品
PQQは母乳に多く含まれています。
食品では納豆、パセリ、緑茶、ピーマン、キウイ、パパイヤ、豆腐、味噌、ホウレンソウなど、色々な食品に含まれています。
認知機能改善のエビデンス
国内で実施された臨床試験において、PQQに認知能力を改善する効果が認められた、とする報告があります。
この試験はプラセボ(偽薬)を対照とした比較試験で、両者を一定期間経口服用したうえで認知機能を測定することにより、認知機能の維持を観察するものです。
研究結果は米国学術書籍「Oxygen Transport to Tissue XXXVII」に掲載されました。
線虫で寿命延長効果
寿命が3週間ほどしかない線虫にPQQを与えたところ、寿命が30%延長することが示されています。ヒトへの応用が期待されています。


