食欲不振や胃もたれなどに使用される漢方「六君子湯」が実験マウスの寿命の延長効果を示したことが知られており、ヒトへの応用が期待されています。
「六君子湯」による寿命の延長効果の仕組みは細胞を様々なストレスから守っている「サーチュイン1」の活性化にあります。
六君子湯について
六君子湯には医療用医薬品と一般用医薬品があります。一般用医薬品はドラッグストアで購入することができます。
生薬の種類
六君子湯は漢方処方の一つであり、下記の生薬より構成されています。
人参(ニンジン) 蒼朮(ソウジュツ) 茯苓(ブクリョウ) 半夏(ハンゲ)
陳皮(チンピ) 大棗(タイソウ) 甘草(カンゾウ) 生姜(ショウキョウ)
生薬は8種類なのに下記を6人の君子にたとえて命名されたようです。
「人参」「半夏」「茯苓」「朮」「陳皮」「甘草」の6つ
効能・効果
医療用医薬品の効能効果(ツムラ社製の例)
胃腸の弱いもので、食欲がなく、みぞおちがつかえ、疲れやすく、貧血性で手足が冷えやすいものの次の諸症:
胃炎、胃アトニー、胃下垂、消化不良、食欲不振、胃痛、嘔吐
一般用医薬品の効能効果(ツムラ社製の例)
体力中等度以下で,胃腸が弱く,食欲がなく,みぞおちがつかえ,疲れやすく,貧血性で手足が冷えやすいものの次の諸症:
胃炎,胃腸虚弱,胃下垂,消化不良,食欲不振,胃痛,嘔吐
六君子湯の延命効果・若返り効果
六君子湯がグレリンの分泌を促進
六君子湯にはグレリンという物質の分泌亢進作用(陳皮に含まれるフラボノイドによる)、分解阻害作用、グレリン受容体の感受性増大作用(蒼朮に含まれるアトラクチロジン)があり、血中グレリン濃度を上昇させる効果が認められています。
グレリンは主に胃で産生されるホルモンで食欲増進作用があります。ゆえに上部消化管症状や食欲不振に対して効果を発揮します。また、下垂体への刺激により成長ホルモンの分泌も促進させます。成長ホルモンは若返りホルモンともいわれ、細胞の寿命を延ばすサーチュイン1が活性化されます。
摂食による延命効果・若返り効果との共通点
過食は老化を促進します。逆にカロリー制限は若返りを加速します。
(極端な摂食は健康を害するので注意!)
常に満腹感を求めれば生活習慣病や成人病を加速させるので、腹八分目より少ない食事量が良いとされています。これは空腹感により消化管でグレリンが分泌され、成長ホルモンの分泌を促し、サーチュイン遺伝子を活性化することにより若返り効果があるものと考えられています。
空腹から身を守る制御機能ともいえ、食事量が少なくとも生き延びられるような仕組み、延命効果ともいえます。


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