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今、風疹が大流行~ワクチン後進国「日本」~

流行する風疹

 

今、国内で風疹が大流行しています。
患者の多くは30代から50代の男性です。
一度感染あるいは予防接種をした場合、通常は発症しない感染症です。なぜ今、風疹が大流行するのでしょうか?

 

風疹とは

 

風疹はウイルス性の感染症です。飛沫感染するためくしゃみ、咳のしぶきで感染します。一般的には潜伏期間は2~3週間で、症状は発熱、発疹、リンパ節の腫れが発現します。
妊娠初期の女性が罹患した場合、赤ちゃんに難聴や心疾患などの重大な障害が出ることがあり、要注意です。

 

ワクチン接種の状況

 

唯一予防する方法はワクチン接種です。
風疹ワクチンはいつどのように接種されてきたのでしょうか。

 

風疹ワクチンを接種した人の生年月日

 

生年月日  

1962年4月1日以前

(2018年現在:56歳以上)

(強制・任意)接種を受けていません
◆接種の義務化(2018年現在:39歳~56歳)※女性のみ
1962年4月2日-1979年4月1日 女性のみ1回(中学生集団接種による)
◆以降、接種は任意(希望者のみ)(2018年現在:39歳以下)
1979年4月2日-1987年10月1日 男女とも1回(中学生個別接種による)
1987年10月2日-2005年4月1日 男女とも1回(小児期個別接種による)年齢により2回目の接種の可能性あり(個別接種による)
2005年4月2日以降 男女とも2回(1歳児及び小学校入学前1年間・個別接種による)

 

1977年8月から中学生女子(男子は対象外)への風疹ワクチンの集団接種が唯一義務化された時期が有りました。
その後1989年以降は「個別推奨」となり、義務ではなく「任意接種」となりました。つまりは希望者、小児の場合は保護者の希望がなければ、予防接種を受けない状況が現在まで続いています。

 

かっぱ君
今、30代~50代の男性に流行している訳ですね。

 

妊娠している奥さんや仕事仲間に感染しちゃったら大変!!
ユニコーン

 

ワクチン後進国「日本」

 

日本はワクチン後進国と言われています。
ワクチンを接種するのは主に乳児~幼児、小学生、中学生が多いです。
少しでも副作用が発現すれば、親御さんは大変心配になります。死亡したり、障害など残れば、どんな心境になるでしょうか。
実際、昔のワクチンは質も悪く、当時の厚生省の対応もお粗末だったために、死亡例が出たMMR(麻疹・おたふくかぜ・風疹)ワクチンは大バッシングされました。
その結果が、先の集団接種の中止、以降任意接種となった理由です。
その結果、数十年経った現在、風疹が大流行しています。
妊婦さんが罹患することで、生まれた赤ちゃんに障害

先天性風疹症候群:Congenital rubella syndrome、CRS

が出たケースも実際あります。

 

先天性風疹症候群(CRS) 

先天性心疾患、難聴、白内障(3大症状)
網膜症、肝脾腫、血小板減少、糖尿病、発育遅滞、精神発達遅滞、小眼球など

 

日本における2012年~2013年の大流行時には、CRSに罹患した患児は2014年までに計45人でした。

45人の転帰については国立感染症研究所のホームページに記載があります。

(以下、抜粋)

性別は男児が25例(56%)。2,500g未満で出生した低出生体重児が30例(67%)。心疾患を認めた26症例のうちでは動脈管開存症の頻度が高く, また, 9例(35%)では複数の心疾患を合併。CRSの三主徴である心疾患, 白内障, 難聴を診断時にすべて認めた症例は3例(7%)のみ, 約半数は三主徴のうち1症状のみ。三主徴以外では, 血小板減少症の合併頻度が高かった。調査時点の転帰は生存が34例(76%), 死亡が11例(24%)。死亡例11例中2,500g未満で出生した低出生体重児は9例(82%)。多くは先天性心疾患を合併し, 1例を除き6か月までに死亡。1年以上のフォローアップ情報(34例)では15例で体重増加不良, 12例で精神運動発達遅滞を認め, 5例で遅発性の難聴を認めた。

2012~2013年の風疹流行に伴い出生したCRS児における調査時点の致命率は24%と高く, また, 難聴や先天性心疾患をはじめとする複数の合併症を呈することが明らかとなった。

 

妊婦さん、妊娠する可能性のある女性は勿論のこと、年齢や性別を問わずその周りにいるすべての人がワクチン接種による抗体の獲得をする必要が有ります。

また、過去にワクチン接種を行っている人でも、抗体価が低下してくる場合も有りますので注意が必要です。

 

未来のためのワクチン接種

 

ワクチンには大きなメリット(有益性)があるものと考えます。
現在のワクチンは質も良く、確かに副作用は0ではありませんが、昭和の時代に比べれば格段に安全性が高くなっています。
医療水準も高いので、万が一の時の措置も一昔とは比べようが無いくらい的確です。
目先の副作用のために、安易に接種をためらうのではなく将来のために、子供たちのために接種を行う判断が必要と考えます。

 

★ワクチンの副作用から、今の子供を守りたい?
★ワクチン接種により疾患から、未来の子供たちを守りたい?

 

ワクチンの有効性は接種してすぐに得られるものではありません。中には何年、何十年の時を要することもあります

命に関わる疾患もあります。こちらを参照

ワクチンの有用性に理解が得られることを願うばかりです。

 

小悪魔
子供のころ予防接種したかなんて覚えてないわ!

 

その場合は、まずは抗体検査を受けてくださいね。
妖精

 

龍じい
自治体からの補助制度があるはずじゃ。調べてみんとな~

 

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はねかわ

医療の世界に身を置き、常に情報収集。エビデンス情報が確かな承認医薬品に加え、積極的なエビデンス収集がなされにくいサプリメントや健康食品にもスポットを当て、予防医学、プレメディケーションの分野に貢献できればと考えています。今後、お金の話も取り入れていきたいと思います。専門分野は薬学、有機化学。薬学修士。

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