医薬品の副作用による健康被害が発生した場合、医薬品副作用被害救済制度を利用して、相応の給付金を受け取ることができます。
ただ、すべての副作用に対応しているわけではなく、給付が認められるケース、認められないケースが有ります。
制度を正しく理解し、利用できるのであれば是非活用してください。
医薬品副作用被害救済制度の概要
財源について
給付に必要な費用は、許可医薬品製造販売業者等、つまり医薬品を製造・販売・輸入等を行っている製薬メーカーの拠出金が財源となっています。
一部、国からの補助金も使用されます。
給付の流れ
健康被害を受けた本人または遺族による請求が必要です。必要書類一式を準備し、窓口であるPMDA(医薬品医療機器総合機構)に送付します。
請求内容から支給の対象となるか否かを判断する必要があります。PMDAが厚生労働大臣へ判定の申し入れを行い、厚生労働大臣は専門家会議である薬事・食品衛生審議会(副作用・感染等被害判定部会)に意見を聴いて判定することになっています。
審議会の医学・薬学的判定に基づき、PMDAが給付の支給の可否を決定します。
決定に対し不服がある場合、請求者は厚生労働大臣に対して不服申し立てが可能です。
医薬品副作用被害救済制度の対象
給付対象となる健康被害について
⇒支給対象:医療費、医療手当て
※請求期限:副作用の治療を受けたときから5年
日常生活が著しく制限される程度の障害がある場合
⇒支給対象:障害年金、障害児養育年金
※請求期限:なし
死亡した場合
⇒支給対象:遺族年金、遺族一時金、葬祭料
※請求期限:死亡から5年
給付対象とならないケース
- 入院治療を要しない健康被害
- 申請期限が過ぎてしまった場合
- 医薬品の使用目的・使用方法が不適切な場合
- 対象除外医薬品による健康被害
- 法定予防接種を受けたことによる健康被害
- 医薬品の製造販売会社に損害賠償責任がある場合
- 救命目的や止むを得ず通常の使用量を超えた使用を行った場合
3.については医薬品毎に定められた用法・容量・投与期間・対象疾患等と異なる不適切使用を指します。
4.については下記を参照してください。
6.は医薬品の品質等に著しいに問題が生じたケース等が考えられます。
7.についてはあらかじめ発生が認識されていた場合について該当します。
医薬品副作用被害救済制度の対象除外医薬品
以下の医薬品等が該当します。
⇒抗がん剤、免疫抑制剤などのうち指定されているもの
人体に直接使用されないものや、薬理作用のないもの等副作用被害発現の可能性が考えられない医薬品
⇒殺虫剤、殺菌消毒剤、体外診断薬、賦形剤など
申請に必要な書類
給付の種類 | 請求書 | 診断書 | 証明書 |
医療費・医療手当 | 医療費・医療手当請求書 | 医療費・医療手当診断書 | 投薬・使用証明書又は販売証明書 |
受診証明書 | |||
障害年金・障害児養育年金 | 障害年金請求書・又は障害児養育年金請求書 | 障害年金/障害児養育年金診断書 | 投薬・使用証明書又は販売証明書 |
遺族年金・遺族一時金 | 遺族年金請求書・又は遺族一時金請求書 | 遺族年金/遺族一時金/葬祭料診断書 | 投薬・使用証明書又は販売証明書 |
葬祭料 | 葬祭料請求書 | 遺族年金/遺族一時金/葬祭料診断書 | 投薬・使用証明書又は販売証明書 |
- 投薬・使用証明書は、診断書を作成した医師が投薬した場合は不要
- 医療費・医療手当の請求に係る受診証明書は、副作用の治療を受けた病院等で証明を受ける
- 副作用の治療を受けた病院が2カ所以上の場合は、それぞれの病院等から診断書等を作成
- 複数の給付請求を同時に行う場合、同じ医師による診断書は副作用のより重篤な症状の様式を使用し、同一の書類の添付は省略可能

