スペルミジンは生体内に存在する物質です。このスペルミジンは加齢と共に減少していきますが、外部から投与することで、ヒトの寿命が延びることがNature Cell Biologyで報告されています。
スペルミジンとはどのような物質でしょうか?
アンチエイジング物質、ポリアミン
ポリアミンの仲間であるスペルミジン
スペルミジンはプトレッシン、スペルミンなどと共に「ポリアミン」に分類される有機化合物です。
3つ以上の窒素(アミノ基)が直鎖の炭化水素に結合したポリアミンは細胞分裂や蛋白合成などの活動に関与する成長因子と言われます。
化学式はC7H19N3
RNAポリメラーゼを活性化し、DNAへの結合・誘発作用を持つ酵素であるT4 ポリヌクレオチドキナーゼを活性化する機能を有するようです。
細胞を活性化するスペルミジンの効果
スペルミジンの老化を防ぐ効果とはどういうものなのでしょうか。
細胞が活動すると老廃物が発生し排泄する機能が有りますが、老廃物を処理する働きが活発になり、細胞がクリーンになります。この働きをオートファジーと言います。
例えば脳の神経細胞のオートファジーにより、認知症などを予防する効果があるといわれます。記録や学習の能力が高まると言われます。
オートファジーの効果はスペルミジンの摂取量が多い地域での疫学調査から、脳梗塞や心筋梗塞につながる動脈硬化を抑制することが示唆されており、動物実験により肝細胞癌の発症の抑制が認められています。
加齢とポリアミン濃度
スペルミジンなどのポリアミンは生体内に存在していますが、加齢と共に減少することが知られています。60~80代の血中ポリアミン濃度は、30~50代より著しく低いことが示されています。
しかしながら、超高齢である90代~100歳以上では、なんと60~80代全体より高い血中ポリアミン濃度が示され、これは60~80代の中で一部の高い血中ポリアミン濃度を有するヒトが長寿になっていることを示すものです。
ポリアミンを外部から摂取することは可能か?
ポリアミンは生体内で生合成される物質です。生体内物質であるポリアミンですが、外部から摂取することは可能とのことです。
食事自体に含まれるポリアミンの摂取と、食事から腸内細菌により生産されるポリアミンがあるようです。
ポリアミンを多く含む食品
豆類:大豆(納豆など)、小豆、エンドウ、グリーンピース、ピスタチオ
穀物:トウモロコシ、小麦胚芽
キノコ類:しいたけ、マッシュルーム
その他植物性:ピーマン、柑橘類
動物性:ブルーチーズ、サザエやバイ貝(特に内臓)、たらこ、いくら、牛モツ(腸)、鶏レバー

腸内細菌の働き
腸内細菌がプトレッシンとスペルミジンを産生していることが確認されています。
腸内細菌の数や種類は非常に個人差が大きいとともに、腸内細菌の餌である食事の種類も個人差が大きいことから、腸内細菌により生産されるポリアミンの量は個人差が非常に大きくなります。
ポリアミンを多く含む食品とビフィズス菌のような腸内細菌を含む食品をどちらも摂るようにすることで、ポリアミンの濃度を上昇させる可能性があります。
精子に含まれる!?スペルミン
ポリアミンの仲間であるスペルミンは精子の中に多く含まれています。
C10H26N4
精子には血中の370倍のスペルミンが含まれるようです。精子の独特の香りはスペルミンの分解物によるものです。
生命の原点ですのでアンチエイジング成分が大量に含有されているのは納得ですね。
