地中海食の主役、トマト
世界の長寿村の中に、地中海食によると考えられる地域が有ります。 詳しくはこちらを。
トマトには色素である「リコピン」が含まれています。 リコピンはカロチン(カロチノイド)の一種で、強い抗酸化作用を有しています。
リコピンの効能として動脈硬化や脳卒中・脳梗塞のリスク軽減等、所謂老化の抑制効果があり、同様の作用があるβカロチンやビタミンEに比べ、作用は強力であると言われています。
高トマト食で乳がんリスクが軽減か
トマトの含有量が多い食事により、閉経後女性の乳がん予防に有益との研究結果がJournal of Clinical Endocrinology & Metabolismに掲載されました。
閉経後の女性70人を対象に、高トマト食群と高大豆食群に分けて効果の検討が行われました。
その結果、高トマト食により血糖や血中脂質を調節するホルモンであるアディポネクチンの値が9%上昇したとのことです。
アディポネクチンは唯一脂肪細胞より分泌されるホルモンです。 血中アディポネクチン濃度の低下により、乳がん罹患率が増加することが報告されています。
今回の研究は、高トマト食による乳がん罹患率の変化を直接測定するものではありませんが、可能性が示唆された、ということです。
トマトによる肺機能低下抑制
1日2個以上のトマト摂取により、肺機能の低下率が緩和されるとの研究結果が「European Respiratory Journal」に掲載されました。
特に、元喫煙者については高い効果が有ったとのことです。 リンゴなど果物を1日に3カット以上食べていた人にも同様の傾向が見られた、と言います。
トマトや果物の摂取により、喫煙によるダメージを受けた肺の機能回復が早まる可能性が示唆された、とのことです。 更に、喫煙の習慣が無い人でも、肺の老化を遅らせる可能性も考察されています。


フィトケミカルについて
フィトケミカルは植物中に含まれる化合物で、特に健康に役立つ成分を意味しています。例えばヤナギの樹皮から単離されたアスピリンもフィトケミカルに相当します。
果物や野菜の色素や辛味成分はフィトケミカルであり、体内では抗酸化物質として作用します。
例えばトウモロコシの黄色色素のルテイン、トマトの赤色色素のリコピン、ニンジンのオレンジ色色素のカロテン、ブルーベリーの青色色素のアントシアニンなどがあります。

分類 | 名称 | 含まれる植物 | 機能・効果 |
ポリフェノール | アントシアニン | ブルーベリーなど | 抗酸化作用 |
イソフラボン | 大豆など | 更年期障害改善・骨粗鬆症予防 | |
セサミノール | ゴマなど | 抗酸化作用・動脈硬化予防 | |
クルクミン | ウコンなど | 抗酸化作用・抗炎症作用・肝機能改善 | |
有機硫黄化合物 | スルフォラファン | ブロッコリースプラウトなど | 抗酸化作用・解毒作用・がん予防 |
アリシン | ニンニクなど | 抗酸化作用・動脈硬化予防 | |
テルペノイド | ルテイン | ホウレンソウなど | 抗酸化作用 |
リコピン | トマト・スイカなど | 抗酸化作用 | |
リモネン | 柑橘類 | 抗酸化作用・抗アレルギー作用 | |
フィトステロール | 植物油 | コレステロール減少 | |
糖関連化合物 | β-グルカン | キノコ類 | 免疫力向上 |
サポニン | 豆類・穀物・ハーブ | 血糖値上昇抑制活性 | |
アルキルフェノール誘導体 | カプサイシン | トウガラシ類 | 体熱生産作用 |
ギンゲロール | ショウガ | 体熱生産作用 |