トレハロースは自然界にはキノコや昆虫などに含まれる糖類です。
動物の身体を保護したり、食べ物の劣化を防いだりする効果が有ることが分かっています。
有効に利用したいですね。
トレハロースの構造
トレハロースは二糖類でグルコースが2分子結合した構造をしています。
同じグルコース2分子でも結合する場所によって糖が異なります。トレハロースはα-1→1という結合です。
α-1→4になるとマルトース(麦芽糖)に、β-1→4ではセロビオースとなります。
自然界のトレハロース
トレハロースはライ麦の麦角や海藻、キノコ類に含まれる天然成分です。また、昆虫界に多く含まれ、昆虫の血糖としても存在するようです。
クリプトビオシス
クリプトビオシスとは「隠された生命活動」を表す言葉です。動物が乾燥などの厳しい環境下で活動を停止し、生命活動自体もストップする、いわゆる無代謝状態のことです。
しかし、水分などが供給されると活動が再開されます。昆虫のシーモンキーの卵やクマムシ、砂漠の植物のイワヒバは、水を与えると活動を再開します。
これはトレハロースによる保護作用なのです。
乾燥してもトレハロースによる保護作用で休眠状態となり死ぬことはなく、再度復活できるのです。
「クマムシ」
トレハロースの特徴
トレハロースは高い吸水作用があります。そのため、デンプンの劣化を防いで、食品を美味しく保つ事ができ、保存料として多くの食品に使用されています。
デンプン質であるご飯もトレハロースを加えて炊けば、劣化の防止によりいつまでも美味しく頂けるのです。
脂質の変質を防ぐ効果やたんぱく質の変性を抑制する効果もあります。動物性たんぱく、例えば豚の角煮やビーフシチューなどの煮込み料理に入れても良いかもしれません。
また、高い保湿性から化粧品や入浴剤にも多く利用されているのです。

血糖値の急上昇を抑える効果も
トレハロースは甘さがマイルドで、砂糖の45%ほどの甘味度と言われます。しかし、成分はグルコースなので低カロリーではありませんので要注意です。
腸でゆっくりと吸収されますから、血糖値の上昇が砂糖に比べてゆっくりとなります。
急激な等の吸収は高血糖となり、血管に対し大きなダメージを与えます。
トレハロースの摂取は血糖値の上昇を緩やかにしますので、高血糖による血管ダメージが抑制されます。
トレハロースの有害説は誤解から…
クロストリジュウム・ディフィシル(CD菌)という腸内最近による感染症について、トレハロースが原因ではないかとの説があります。
強毒性のCD菌が欧米で2000年に蔓延したことと、FDA(米国食品医薬品局)がトレハロースの添加物としての認可の時期が重なったことが説の要因のようです。
元々マッシュルームやビール酵母などの食品から摂取されており、添加物からの使用量も多くはありません(食品からの摂取量は添加物の20倍と言われています)。
日本では「林原」が開発した合成方法により安価に入手でき、料理を美味しくするとのことで、使用量は多いはずですが、強毒性のCD菌感染症の発生問題は起きてはいません。
元々はグルコース2分子であり、安全性が高い物質なので、有害説の根拠(エビデンス)は極めて低いものと思います。
