ビタミンDについて
ビタミンDはD2からD7の6種類が知られています。その中で、ヒトの身体に対し重要な働きをするのは、ビタミンD2(エルゴカルシフェロール)とビタミンD3(コレカルシフェロール)の2種類になります。
ビタミンD2は椎茸、シメジ、キクラゲなどのきのこ類に多く含まれています。ビタミンD3は魚介類、卵黄やバターなどの動物性食品に多くに含まれています。
また、ヒトの皮膚に存在するプロビタミンD3(コレステロールから代謝された成分)が、紫外線に当たることによってプレビタミン D3に変換され、異性化してビタミンD3に生合成(ヒトの体内での合成)されます。しかし、生合成のみでは量が足りないので、外部からの摂取は必須です。
ビタミンDの働きについて
ビタミンDは活性型ビタミンD3(カルシトリオール)にとして、次の作用により血中のカルシウム濃度を高めます。
- 腸からカルシウムの吸収を高める。
- 腎臓でのカルシウムの血中から尿への移動を抑制する。
血中のカルシウム濃度が高まることにより、骨格と歯の発育が促進され、神経伝達や筋肉の収縮などを正常に行うことができます。

ビタミンDとがんとの関連性
ビタミンDが大腸がんリスク低下させる可能性
ビタミンDの血中濃度が高いほど大腸がんになるリスクは低減する可能性についてのエビデンス情報が、「Journal of the National Cancer Institute」オンライン版に掲載されました。これらの関連は特に女性で強かったそうです。
米国がん協会(ACS)疫学研究部での研究は、5,706人のがん患者と7,107人の健康な対照群のデータから、血中25(OH)D濃度と大腸がん罹患との関連を調べたところ、血中25(OH)D濃度が正常範囲だが低い(50~62.5nmol/L)場合に比べて、ビタミンDが不足または欠乏(血中25(OH)D濃度が30nmol/L未満)していると大腸がんになるリスクが31%高くなり、一方で、血中25(OH)D濃度が十分であると(75~87.5nmol/Lおよび87.5~100nmol/L)、大腸がんになるリスクはそれぞれ19%、27%低下した、とのことです。
また、血中25(OH)D濃度が25nmol/L上昇するごとに、大腸がんになるリスクは女性では19%、男性では7%低下することも明らかになったそうです。

血中ビタミンD上昇で癌リスク低下?
もう一つ、種々のがんとビタミンDとの関連性についてのエビデンス情報があります。 国立がん研究センターの研究で、血中ビタミンD濃度とがん罹患リスクとの関連を調べた結果です。既に、血中ビタミンD濃度が上昇すると、大腸がんや肺がんに罹患するリスクが低下する傾向が示されてはいましたが、大腸がん・肺がん・乳がん・前立腺がん以外のがんや、がん全体を対象としたコホート研究は十分ではありませんでした。
研究グループは、男女約3万4,000人を対象に追跡調査を行い、血中ビタミンD濃度の測定を行い、血中ビタミンD濃度が最も低いグループを基準にがん罹患との関連性調べました結果、血中ビタミンD濃度が上昇すると、何らかのがんに罹患するリスクが低下することが明らかとなりました。
今回の研究結果は、これまでの研究で示されているビタミンDのがん予防効果を支持するものと考えられる、としています。ただし、血中ビタミンD濃度が一定のレベルを超えた場合、それ以上のがん予防効果は期待できない、とのことです。
脂溶性ビタミンは摂りすぎに注意!
ビタミンには水溶性ビタミンと脂溶性ビタミンがあります。ビタミンDは脂溶性ビタミンに分類されます。脂溶性ビタミンは体内に蓄積する時間が比較的長いので、過剰に摂取することで副作用が生じることがありますので、ご注意です!

主な脂溶性ビタミン
ビタミンA
ビタミンD
ビタミンE
ビタミンK
主な水溶性ビタミン
ビタミンC (アスコルビン酸)
ビタミンB群
ビタミンB1 (チアミン)
ビタミンB2 (リボフラビン)
ビタミンB3 (ナイアシン)
ビタミンB5 (パントテン酸)
ビタミンB6
ビタミンB7 (ビオチン)
ビタミンB9 (葉酸)
ビタミンB12 (シアノコバラミン)